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舞台「きみがいた時間ぼくのいく時間」~キャラメルボックス~

キャラメルボックス舞台「きみがいた時間ぼくのいく時間」のDVDを観た。

 

これは、やられた^^

それまでの3作、「あしたあなたあいたい」のみ若干落ちるものの

素晴らしいストーリー展開とせつないほどの人間ドラマ。

その3作を受けてどう集大成として描き出すのか期待せずにはいられなかった。

だけどその期待以上の、そうくるかと唸らされるほどの作品。

これまでの3作はキャラメルボックスの大きな特徴でもある

ジェットコースター的怒涛のストーリー展開にタイムマシーンというアイテムを

相乗効果的に使い、それまでの過去そして現在・未来を

主人公が経験する数日あるいは数時間に凝縮させて乗せ掛ける。

特に第1部「クロノス」では何度も失敗しながらも何度も過去へ飛ぶ。

それとは実に対照的にこの「きみがいた時間ぼくのいく時間」では

事故で亡くなった妻のためにたった1度39年前の過去へ飛ぶ。

ここでご都合だとケチをつけそうな人もいそうだけど

過去3作ではクロノス・ジョウンターという

過去にいられる時間が限られていてしかも遠く未来へと弾き飛ばされるという

副作用をもった機械で過去へ飛ぶのだが、

今作ではクロノス・スパイラルという過去にそのまま居続けることが出来るが

39年前にしかいけないという機械で過去へ飛ぶ。

そして舞台を2幕に分けて39年前の過去をじっくりと描く。

ここで2、3部の「ミス・ダンテライオン」「あしたあなたあいたい」がまるで

この作品のフリだったかのように思える展開を見せる。

自分が過去にいったことによって変わっていっているように思えた流れが

実はクロノス=時の神の手のひらにいたかのようにその流れの渦の中に

過去に戻った自分も組み込まれている。

前2作がそれに主人公たちが気付けなかったのはそれが結実するのは

弾き飛ばされる遠い未来での出来事だったから。

今作の主人公里志はもともと研究員で頭も切れるだろうから

途中どこかの段階で気付いていたはずで、

その証拠に自分の見てきた未来に歴史が踏み外さないように色々な配慮をみせる。

冷静に考えるともしかすると大きく歴史を変えてしまえば

自分と妻が出会わないようにしてしまえば事故も起こらずに

妻がなくなることもないのかもしれない。

だけどもしかすると妻が(相手が違ったとしても)事故で亡くなるということは

歴史の流れで変わらないかもしれない、変わるかもしれない。

それになにより歴史を変えてしまえばここに自分も存在しないことにもなる。

ここで思い出されるのは「バタフライエフェクト」の映画公開バージョンのエンディング。

主人公は彼女と出会わない未来を選択した。

今作では里志はそうはしなかった。

あえて事故の日へと繋がるかもしれない未来を選ぶ。

見てきた未来どおりならその日は回避できていない。

しかし信じるんだ、本来研究者で科学者である里志が

理論や理屈ではなく、ひとの想いを。

歴史が変わった瞬間、ふともうひとつの想いにも気付かされる。

39年前の過去で里志の傍にいた純子、

彼女もまた気付いていたんじゃないか、里志の望みを叶えること、

それは自分が愛したひとの記憶はおろか、その事実さえもなくなってしまう。

結ばれることもなくただ傍で支え続け、時間の渦の中に消え去ってしまう運命。

それでも未来は君たちの手で守れと言う。

過去にしか行けないタイムマシーンというアイテムを使い

未来へと続く現在を描き出したせつなさと温かさを残した傑作である。

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